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2018/05/25

コラム「教育実践」vol.9「教師とは…豊かな発想力!」

Tweet ThisSend to Facebook | by 事務局(天野)

教師力とは・・・豊かな発想力!

教育実践研究科 准教授 樫永卓三


 児童・生徒の個性に対応した授業デザインとは・・・?こうした課題に対して、
適切な手段・方法を即座に見出せるであろうか?大きなヒントは、
教師自身の資質・能力にある。自らの教師力(指導力・授業構成力)に関係するところ
でもある。ここでは、多くの児童・生徒に対応する包容力のある授業デザインについて
考えていく。先ずは、授業の主体者である児童・生徒の学習意欲を引き出すための
要素について考えてみたい。


【学習意欲を引き出す要素】

  学習集団の雰囲気づくり ② 魅力的な学習課題 ③ 欲求・学習動機の満足度

④ 新たな動機づけ

 すべての教科に共通する要素を挙げてみたが、教師の資質・能力に関係する観点
ばかりである。児童・生徒の学習に対する意欲を喚起させ、自らが主体的に
取り組んでいくため
の学びのプロセスをどう構築していくかが今教師一人一人に
問われている。学習集団としての学び合い、高め合いの機能の活性化といった共生の
良さを生かしていくとともに、学習意欲を高める魅力的な課題の設定も重要な
ポイントとなる。

 また、学びに対する満足度についても「もう少しやりたい!」というある程度の
伸びしろを残す適度な充足度が望ましいところである。そうした思いが、新たな学び
への動機付けに繋がっていくことになる。


 次に、教師自身の資質・能力面について考えてみたい。学習提供者として、いかに
魅力ある学習課題をプランニングできるか?学びそのものを多面的に考えながら、
学ぶことの楽しさを児童・生徒一人一人にしっかりと伝えていけるか等の視点に
ついて図画工作科の具体例から論じてみることとする。

【教師に求められる資質・能力】

  多面的な視点   ② 素材に対する豊かな発想力  ③ 学びの構成力


 
児童・生徒の生活環境には、ありとあらゆる素材が転がっていることになる。
ほとんどの場合、日常的に素材として向き合っているわけではなく、ただ漠然と
見ているだけにすぎないことが多い。何かの課題提示があり、初めて素材として
向き合うことになる。そうした現実を打破していくきっかけづくりも、教師の大きな
責務である。教師自らが、どれだけ環境そのものを素材として見つめ直していけるか?
そしてまた、そうした視点の大切さと楽しさを児童・生徒に伝えていけるかが、
図画工作科教育の原点でもある。そのためには、教師自身の吟味力・応用力・構成力も
必要となってくる。自身の環境そのものを、どれだけ日常的に素材として見つめて
いけるかが、指導の深まりに関係してくることにもなる。

 例えば、ごく普通の梱包用の紙テープも造形対象として見直してみると多種多様な
表現方法が考えられる。「縛る」という本来の目的用途以外に、どれだけ多目的に
発想を広げていけるかが、ここではキーワードとなってくる。
写真1
【写真1】

【写真2】

造形表現の素材としてその方法を考えた時、「結ぶ」「組む」「巻く」「丸める」
といった発想が考えられる。「写真1」は、箸置きやコースター・花瓶敷等へと発展
させた例である。一つの素材をどう工夫していくか?表現の楽しみは、ここにある。
また、大・小の巻いたものを「組み合わせる」という新たな発想から、更に世界が
広がっていくことになる。入れ物やその他、いろいろと工夫することによって
表現活動がより豊かに・・・


「写真2」は、「巻く・組み合わせる・ずらす」という一連の行為から生まれた作品
である。「素材」としてしっかりと対話することにより、様々な造形物として表現が
熟成していくことになる。表現活動そのものの楽しさは、こうした瞬間にあり、
教師としての最大の喜びでもある。また、学びを提供する上での最も基盤とするべき
ポイントでもある。

「理論と実践」の融合は、こうしたところから始まる。児童・生徒の状況把握・
カリキュラムに対する理解と応用力・柔軟な授業デザイン力の三位一体の理想形は、
教師自身のこうした資質・能力にかかっている。楽しみながら意欲的に学び続ける
「学びの深化」を最大限に引き出すことのできる教師の存在は、児童・生徒一人一人
の学びをしっかりと支えていくことになる。

 先ずは、教師自身の「自分磨き」からスタートしよう!「豊かな発想力」と
「確かな授業デザイン力」、そして何よりも欠かせない「情熱」を持ち続けて・・・!


09:00 | コラム「教育実践」