メディア・ジャーナリズム研究コース

メディア・ジャーナリズム研究コース

佐々木伸    山脇直司
 
問われるジャーナリズムの役割


メディア・ジャーナリズム研究は教育学研究の最前線 
  私たちは今、フェイクニュース(虚報)が氾濫するポスト・トゥルースの時代に翻弄されている。インターネット・テクロノジーの日々の進歩によって、誰もがいつでも、どこででも、ニュースを発信し、受けられるようになる一方、虚報が瞬時に世界を駆け巡り、真実として一人歩きしている時代に生きている。
 何が客観的な真実か、そうでないのか、何が実際に起きているのか、起きていないのか。真実と虚報の境界があいまいに見える中、私たちには真実を見極める力、情報を的確に読み解く力「メディア・リテラシー」が求められている。
 昨年の米大統領就任式の報道では、大統領の側近は「もう1つの真実」と言って、観客数の事実との差異を正当化しようとした。権力側が自分たちの都合のいいように情報を操作し、言いつくろうとする姿はまさにポスト・トゥルースの現実を浮き彫りにするものといえよう。
 現政権を揺るがした、とある大学学部設置の問題では、政権の疑惑を1人で告発した文科省前事務次官のプライバシーを権力側からリークされて書き立てるメディアの実態も明らかになった。そして首相らとの記者会見では、厳しく追及する代わりに、発言の内容をただ一斉にパソコンに打ち込む情けない記者の姿に慄然とする。そこには世のため、人のため、社会のために何が何でも不正や疑惑を正すという気骨あるジャーナリズムの気概は感じられない。
 メディア・ジャーナリズムの抱える問題を分析・研究し、あらためて「真実、独立、公正」というジャーナリズムの基本的な役割と使命を問う場が必要だ。混沌としたポスト・トゥルース時代をどう生きていくのか、世界との共生を思い描きながら、一緒に勉学できるのを楽しみにしている。教育には、未来に繋ぐべき責任がある。
   


  メディアとはそもそも「人と人を繋ぐコミュニケーションの媒体」を意味している。その意味で私たちはメディアなしでは生きられない。特に20世紀以降台頭した大新聞、ラジオ、テレビなどのマス・メディアや、21世紀になって急速に発達したSNSは、私たちの生活に大きな影響を与え続けている。しかし他方、近年、「フェイクニュース」や「ポスト・真実」なる語も流行し始め、改めてメディア・リテラシーが問われるようになっている。
 偉大なジャーナリストであったリップマンは、『世論』の中で、ある種の固定観念によって左右される画一的なイメージを「ステレオタイプ」と呼び、新聞などがそうしたステレオタイプをどれほど増殖させているかを抉りだした。そうした状況を乗り越えるために、彼は『公共の哲学』を著わし、ジャーナリズムの使命は真実追究であり、言論の自由はそのための手段だと規定したうえで、その真実追究のために身に付けるべきジャーナリストの作法を「civility(公共的市民性)」と名付けた。
 他方、教育哲学者でもあるジョン・デューイは、「知」を、人間同士のギブ・アンド・テイクや対話、様々なコミュニティの知的資源の伝達としての教育によって獲得されていくものと考えていた。その彼は、リップマンの考えに満足できず、個人一人一人が能動的なライフスタイルで公共的問題を的確に捉え、問題解決に向けて他者とコミュニケーションするような「公衆(the Public)」の蘇生によって、逆に世論や政治家を動かすような「大きなコミュニティ(great community)」が必要であると訴えた。
 こうした二人のメディア・ジャーナリズム観は、今日の状況に照らして、色あせるどころか、ますます進化・深化させるべき教育的課題であり、今こそ教育学研究の最前線に位置づけられなければならないと私は確信している。
   
  
 
メディア・ジャーナリズム研究コース開講科目

 
教育学研究科の科目に加えて新たに以下の科目を開設します。 

ジャーナリズムの役割特論 <ジャーナリズムの役割特論.pdf
ネット時代のメディア教育特論 <
ネット時代のメディア教育特論.pdf
放送とメディア教育特論 <
放送メディア教育特論.pdf
アメリカン・メディア研究特論 <
アメリカンメディア教育特論.pdf
メディアと国際関係特論ー日中韓関係の見方ー <
メディアと国際関係特論シラバス―日中韓関係の見方―.pdf
公共哲学特論 <
公共哲学特論.pdf
科学技術と社会のメディア・リテラシー特論 <
科学技術と社会のメディアリテラシー特論.pdf
ルポルタージュ研究特論 <公開までもう少々お待ちください
メディア・ジャーナリズムプログラムデザイン特論 <
公開までもう少々お待ちください> 
メディア・ジャーナリズム実践演習Ⅰー邦文編ー <
メディア・ジャーナリズム実践演習Ⅰ.pdf
メディア・ジャーナリズム実践演習Ⅱー英文編ー <
メディア・ジャーナリズム実践演習IIー英文編ー.pdf
メディア・ジャーナリズム実践演習Ⅲー調査・実習編ー <
メディア・ジャーナリズム実践演習IIー英文編ー.pdf


メディア・ジャーナリズム研究コース講師紹介 

 
 鬼頭秀一  大嶋英一
 
杉田弘毅
  
渡辺真由子
 
  

 教育学研究科(通信課程)なので働きながら学べる

 ●スクーリングは土日中心、平日夜間も開講予定
 ●自宅でも受講可能
 ●大学を卒業していなくても、大学院で学べる
 ●聴講生でも学べる
 ●研究推進特待生、入学金免除制度


 
  
 
メディア・ジャーナリズム研究コースではつぎのようなテーマを想定して研究をしていきます。
 ●共生社会を目指すジャーナリズムの諸課題    
 ●ネット時代における公私問題のゆくえ    
 ●メディアクラシーとデモクラシーの現在    
 ●シティズンシップの教育とメディア教育
 ●メディアにおける科学技術社会リテラシーの構築に向けての研究—科学ジャーナリズムにおける社会倫理リテラシーと一般メディアにおける科学リテラシーの欠如の中で    
 ●STAP細胞事件報道における研究倫理とメディア倫理−科学報道の倫理に向けて    
 ●低線量被曝の影響に関する科学者の倫理とメディアの役割−「風評被害」言説を超えて    
 ●ポスト・トゥルース時代のメディア・ジャーナリズムの在り方    
 ●フェイクニュースがなぜ生まれたか−問われるジャーナリズムの役割    
 ●報道と権力ー日米ジャーナリズム比較論    
  などのテーマを想定しています。