みんなの学びをみんなで作る


梅田 梨絵 さん(教育実践研究科在学生/自営業(運動指導者)/神奈川県)


 大学で徒手体操の部活に2年生で入りました。それまで体の大きさを生かしたスポーツをやっていましたが、体操は小さいほうが有利。自分が得意ではないことをやった時にどんな成長があるのかと思って始めました。4年生で最後の作品を作るときに、私は一番苦手なタンブリングを選んだのです。そうしたら、自分がこの技を披露したいというような欲がないので、意外と客観的に見て作れるのですよね。「私はできないからこそ、できる人にはがんばってほしい」って伝えていたら、結構みんな協力してくれて、すごくいい作品になりました。この時に目標を達成するには、自分は得意なこと・できることをがんばって、苦手なものはほかの人に補ってもらうということを学びました。この経験が人生で転機になって、この考え方が今につながっているなと思います。


 学習科学特論の授業では、適切な先行文献を探して読んで引用するという一連のプロセスを学んで、本当に感激しました。自分がすばらしいと思う指導を、こうやって周りの人に理解してもらうように伝えることができるのだなって。鉄棒は子どもが興味をもちずらいのですが、ロープをつけてブランコ遊びをする活動が効果的なのではないかと感覚的に私は思って、実践していました。子どもがつい遊びたくなるような魅力のあるプログラムにすればいいじゃんって。その良さについて、例えば、感覚統合や脳の前頭葉の働きについて書かれた論文から根拠を拾って論じるということを、この科目での私自身の最終課題としました。かなりの時間を費やして大変でしたが、本当にわくわくして、最後には達成感を味わいました。

 実はこの科目は大変だよと先輩から噂で聞いていて、初めはみんな構えてしまっていました。私はその状況に危機感を感じて、なるべく先生とも周りの人ともコミュニケーションを取ろうとしました。そのときに気づいたのが、同じ言葉でも人によってとらえ方が違うということでした。構えているとつい悪い方に考えてしまいがちなので、「私はこう解釈しましたよ。これはきっといい意味ですよ」と一緒に学んでいる仲間に伝えるようにしました。こうすることで、全員が有意義に学べる環境を作りたいと思ったのです。せっかく入学したのですから毎日が楽しくなきゃ損ですよね。やがて授業が徐々に楽しく感じるようになり、最後の方は「早く行きたい、みんなでまた楽しくお話ししたい」と思うようになりました。おそらく一緒に学んでいる仲間も同じように感じてくれていたのではないかと思います。そして一見厳しそうな先生も、実は学生を主体に考えてくれていることがわかりました。最後には、先生も含めてみんな議論に熱中して、授業時間が30分も延長するほどになりました。


 将来的には、大学院で学んだことをもとに保育士向けの研修プログラムを作りたいと思っています。問題のある子どもに対して、私が怒らなくても状況が改善されていく様子を保育士さんが見ていて、どうしたら叱らずにできるのですかと聞いてきたことがあります。私は大学院で学んだ行動分析学をもとに、起こる前と行動と起こった後を記録するように伝えました。書いていくうちにパターンがわかって、保育士さんたちが落ち着いてきたからか、問題行動が少なくなったそうです。そして、よく見ると自分に原因があると気づいたようで、気づけるのすごいよねとほめました。その時の先生の笑顔は最高でした。悩んでいる先生は他にもたくさんいると思います。それを解決するためにも、私が大学院で研究したこと伝えて、それについて意見をフラットに言い合ってディスカッションできる場を作っていければと思います。

 自分の成長が見込めないからと成果が出る前に諦めてしまったり、相手が成長しないからと注意を増やしてしまったり。そういったことを少し我慢して、自分の成長や相手の成長の可能性を信じて待つことがとても大事だと考えています。そうすれば、必ずチャンスが訪れると私は信じています。