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2025.11.02

修士課程 就職 / 実績 / 活躍

本学修士課程修了生の江川祥平さんが全国自治体病院学会の第63回全国自治体病院学会 in 群馬にてポスター発表を行いました。(2/2)

【タイトル】
救急搬送患者のせん妄予防に向けた看護の挑戦~リスク検討から始める実践への一歩~

【概要】【目的】A病院は、地域医療の拠点病院であり二次救急の指定病院でもある。高齢化に伴い救急搬送患者の多くが、65歳以上で入院する患者も65歳以上の高齢者となっている。高齢者が緊急入院を経験すると、入院期間中に認知症の増悪やせん妄を発症し安全に医療を遂行するために身体拘束や、薬物を使わざる得ない状況が存在する。しかし高齢者への身体拘束や薬物の使用は、転倒リスク、廃用のリスクを高め、結果として入院期間の長期化や退院困難に繋がる。また身体拘束や鎮静剤による行動の制限は人権にも関わる重要な問題である。本研究では、救急搬送され入院した患者のせん妄発症の有無をデータ収集し、せん妄発症に関連する要因を検証し、せん妄発症予防・ケアの一助となる事を目的とした。
【方法】本研究は、データ検証型量的研究とした。A市立病院倫理審査委員会の承認(R07-3)を得たうえで傷病者引継書および患者の医師カルテ、看護記録より個人属性(性別、年齢、認知症の有無)、せん妄発症の有無、身体拘束の有無を情報収集し、傷病者引継書より疾病分類、入院の有無を情報収集した。収集データは、EZR(Ver1.54)を使用してロジスティック回帰分析で統計学的に分析を実施した。
【結果】基本属性をもとにせん妄の発症要因を検討した結果、男女ともに高齢であること(男性:オッズ比1.10、女性:1.07)および認知症の有無(男性:OR12.5、女性:OR32.0)がせん妄発症に有意に関連していることが明らかとなった。さらに、性別とせん妄発症の関係を分析したところ、男性に比べて女性の方がせん妄を発症するリスクがわずかに高い傾向にある(OR男性0.61、OR女性0.65)ことが示された。疾病分類による統計解析では、男女ともにせん妄発症リスクを高める要因となる結果を得る事は出来なかった。一方で、男性では心疾患(OR0.3,pValue0.06)女性ではその他(OR0.4,p Value0.02)となり、他の疾患分類と比べてせん妄発症率が低い傾向にある事が分かった。結論:救急搬送患者のせん妄発症に関連する要因として、男女に共通して高齢である事(65歳以上)、認知症があることが明らかになった。また性別では、女性の方がせん妄発症傾向にある事が示された。疾病分類では、リスクを高める要因は明らかにならなかったが男性では心疾患、女性ではその他(熱中症、酩酊など)の場合には他の分類に比べてせん妄発症が低い傾向にある事が明らかになった。

当日プログラム等についてはこちらよりご覧ください。