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教育系大学院(学校教育・特別支援教育・看護教育)
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博論執筆を通して得た歴史的な知識は、自分自身の指導・支援を見直す視点、知的障害教育を考える素地になりました

葛西一馬 さん

教育学研究科博士後期課程修了生(2024年3月修了)・修士課程修了生(2019年3月修了)/特別支援学校教員/三重県

インタビュー1 – 博論執筆を通して得た歴史的な知識は、自分自身の指導・支援を見直す視点、知的障害教育を考える素地になりました – 葛西一馬さん

大学院(修士課程)へ入学しようと思ったきっかけは、知的障害教育における「アクティブ・ラーニング」や「主体的・対話的で深い学び」について学修、探求していきたいと思ったからです。修士課程では、たくさんの科目や修士論文を執筆する中で、それぞれの言葉の意味を知り、知的障害教育の教育実践においてどのように行っていくとよいかについて考えることができました。しかし、知的障害教育に携わる中で、子どもたちの「より良い学びとは何か」について改めて深く考えたいと思うようになり、博士後期課程へ入学しました。

博士後期課程では、入学当初、修士課程での学びから「アクティブ・ラーニング」や「主体的・対話的で深い学び」について研究を進めていくつもりでいました。しかし、指導教員の先生との対話、そして、授業や研究発表会等でいただくアドバイスから、それぞれの言葉にとらわれることなく、知的障害教育の本質的な部分にせまる研究へとテーマを変更しました。その一つの答えとして、知的障害教育における生活中心教育を歴史的に探求することにしました。

知的障害教育の中でも生活中心教育の本質にせまるため、先生方から教えていただいたように図書館に何日も籠りました。知的障害教育に関わる古い文献をひたすら読み漁り、論文という形でアウトプットすることを繰り返しました。投稿した論文の多くは不採択になりましたが、不採択の理由やコメントからも本当にたくさんのことを学びました。また、文献を収集するために特別支援学校や大学も回りました。戦後から間もない時期において、知的障害教育へ情熱を注いだ先哲の「学校たより」等、当時の資料はどれも情熱の溢れるものばかりでした。そのような資料から地道に博士論文を書き上げていきました。

博士論文は知的障害教育における生活中心教育に関する文献による歴史的な研究でした。歴史的な知識は直接、子どもたちに還元できるものではないのですが、自分自身の指導・支援を見直す視点に、そして、知的障害教育を考える素地になっているという実感をもつことができました。そして、現職の教員としての省察に大きく役立っていると感じました。また、博士後期課程で大切にされている「実践と理論の往還」を感じながら教育・研究を進められたと思っています。たくさん支えていただいた指導教員や修士課程からお世話になっている先生方、そして家族には感謝の気持ちでいっぱいです。


修了後も、学会発表や論文執筆を通して、知的障害教育の重要性や魅力を発信しています

知的障害教育における生活中心教育の歴史的な研究を進めたことで、知的障害教育の現在地を確かめることができました。そして、この研究からこれからの知的障害教育について考えることができていると考えています。そのため、歴史的な研究を継続し、学会発表や論文を執筆することを通して、知的障害教育の重要性や魅力を細々と発信しています。微力ですが知的障害教育の魅力がより多くの人たちに伝わってほしいと思っています。そして、知的障害教育に携わる中で、目の前にいる子どもたちにこれからも還元していきたいと思っています。