『わけがわかる日本史』-歴史を単なる暗記物として捉えるのではなく、自分の立場に置き換えて応用する-
本保泰良 さん
2026年3月教育学研究科修士課程修了生/高校教員/茨城県

在学中に『わけがわかる日本史』を執筆された教育学研究科修士課程の修了生で、現職の高校教員でもある本保泰良さんに、ご著書や大学院での学び、今後の展望について、お話を伺いました。
Q: ご著書は、クイズ形式で歴史を読み解き、楽しく読める構成となっていますね。執筆の背景を教えてください。
将来的に、歴史を深く考えていく本を執筆したいという目的で、日本史のブログを個人的にやっていて、それが元になっています。
日頃の日本史の授業では、教えるというよりは、生徒が自ら調べるような授業をしています。
暗記や教科書を読むのは生徒が自分たちでやることであって、授業は思考力・判断力・表現力を養う場所であると考えています。
先生が問いかけをし、生徒は自ら調べてから質問をする。こうした授業のやりとりを形にしたものです。
Q:歴史を伝える際に、大切にされていることはありますか。
私の授業は過去のことを過去のこととしてのみ教えるのではなく、現代とどうリンクしているかを考えていきます。
例えば、平安時代の武士は、戦士であると同時に農民でもありました。
春は農作業、冬は戦士と、季節によって役割を使い分けていたのです。
こうした兼業が、戦での弊害を生むことになります。
その後、歴史的には兵農分離が進み、1人1役となります。
武士は2足のわらじをはいているのが当然という固定観念があると、兼業の弊害は克服できません。
弊害をどう克服し、専門性を確立するか、リソースを生み出すことができるか、史実を自分の立場に置き換えると、現代の課題に応用できるのではないかと考えています。
歴史を単なる暗記物として捉えるのではなく、自分の立場に置き換えて応用する。
『わけがわかる日本史』も、こうした視点で楽しんでいただければと思います。
Q:執筆にあたり、苦労された点はありますか。
説明したいことがたくさんあるのですが、各ページに、行数の制限があり、その枠内に収まるようにするのに苦労しました。
一見、簡単な文章に見えますが、細心の注意を払いながら、熟慮の末、分かりやすい文章を書きました。
Q:大学院での学修は、執筆活動に影響がありましたか。
大学院でのレポート課題、科目修得試験に臨むにあたり、自分が答えを導き出すために、深く考えたアプローチが役立っています。
大学院では、自身の専門である歴史だけでなく、特別支援教育や教育社会学など、今まで馴染みのなかった分野にも取り組みました。
約30単位分の科目の課題に真剣に取り組み、その結果、各教員に自分の考えを認めていただきました。科目によって、いろんな角度から課題が出されるので、多角的・多面的に深く考えないと課題には応えられません。
また、課題に回答するだけでなく、自分だったら歴史を教えるにあたりどう活かせるか、自分にどう落とし込むかを常に考えていました。
大学院での学修があったからこそ、分かりやすい表現ができたと思います。
Q:深く考えるとは?
他の視点はないか、何度も考えることですね。
例えば、授業の準備において、生徒たちに自分の授業が、「意味がある、価値がある」と思ってもらうために、一度準備をすべて終えた後に、相当、深く考えてさらに手を加えています。
教員は生徒に考えさせる以上、教員自らも考えなければいけないと思っています。
Q:大学院の学修スタイルはどうでしたか。
星槎大学の科目等履修生の経験があったので、オンライン学修の仕組みが分かっていました。勤務校は土曜日も登校日なので、スクーリングの日程調整が大変でしたが、職場の理解・協力を得て、スクーリングに出席していました。
星槎大学大学院には多様な先生がいて、それぞれの先生からスクーリング等でもらえるコメントがとても参考になりました。
Q:研究指導教員からの指導について教えてください。
日本古代史、歴史教育がご専門の堀川徹先生に指導をしていただきました。堀川先生は、答えを提示するのではなく、この点についてさらに考えるべきであると指摘する形で、上手に導いてくれました。質問に回答する際は、先生が想定されている以上のものを提示するようにと意識していました。
在学中に全国地理教育学会に加入し、学会誌の論文を執筆したのですが、初めてで手探りでの執筆だったため、堀川先生にお願いし、見ていただきました。
論文の書き方を丁寧に見ていただき、愛のあるツッコミをいただきながら二人三脚で仕上げることができました。
『わけがわかる日本史』を堀川先生に読んでいただいたところ、歴史学者としてもコメントをいただき、非常に勉強になりました。
堀川先生には大変感謝しています。
Q:全国地理教育学会での論文について教えてください。
全国地理教育学会は、歴史の中にどうやって地理の分野を融合させられるか、というのがテーマなので、私は江戸時代の気候と米の生育との関連についての論文を執筆しました。
実は、江戸時代の気候をテーマとしたきっかけには星槎大学が関係しているんです。
私は、星槎大学の科目等履修生で公民の免許を取得しました。
そこで履修した手島純先生の科目で教科書に指定されていた書籍に、江戸時代の気候を研究している先生が紹介されていました。それをきっかけに、その先生の論文を読み、江戸時代の気候と米の生育との関連を調べ始めました。
Q:大学院修了後の展望を教えてください。
将来は大学教員を目指しており、博士後期課程への進学も視野に入れています。
論文投稿や研究発表、執筆の仕事も続けていきたいです。





