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「還暦で修士!」を目標に大学院で教育学を学ぼうと決心をしました

谷村浩子 さん

2023年3月教育学研究科修士課程修了生/専門学校教員/京都府

インタビュー7 – 「還暦で修士!」を目標に大学院で教育学を学ぼうと決心をしました – 谷村浩子さん

私は作業療法士として大学病院で27年間臨床を行い、その間に認定作業療法士、専門作業療法士(手外科)、認定ハンドセラピストの資格を取得しました。認定ハンドセラピストの方々が大学院に入学しバリバリ研究を行っているのを見て、羨ましくまた置いて行かれた気持ちを味わっていました。そこで、とりあえず大卒の資格をと思い、放送大学は卒業したのですが、(言い訳ですが)家庭も忙しく、すっかり大学院進学は諦めていました。しかし心のどこかに、大学院で学びたいという気持ちはくすぶっていました。

病院での臨床現場から養成校の教員になり10年が経過したときに、ふと、自分は学生に教えてはいるけれども、それは何らかの方法論などに基づいているのかと考えたとき、ただの自己流であることに気づき愕然としました。そこでくすぶり続けていた思いを叶えるためにも、「還暦で修士!」を目標に大学院で教育学を学ぼうと決心をしました。

入学後学び始めて、本当に何も知らずに教えてきたことに驚きました。教員になってからはどうすれば自身の知識をうまく伝授できるのかを一番に考えており、まさしく客観主義的な教育しか念頭にありませんでした。そして信念モードの学修こそ学生が行うべきことと思っていました(もちろん、客観主義や信念モードという言葉は知りませんでしたが・・)。そんな方法でしか教えられていない学生が自身で学ぶ姿勢に乏しかったのも今となれば当然の結果だと考えられます。学びを通して学生自身が持っている知識で、疾患や患者に対する理解を自身で構成していくような教授の方法を取り入れることなど、自身の教え方や教えることに対する根本的な考え方が変わったと思います。

養成校の教員になってから学生が臨床実習で躓くことや、実習が嫌な時間になることがなぜなのか、どうすれば躓かずに過ごすことができるかと考えていました。また、実りある臨床実習にするためにはどのような準備が必要なのかなどの具体的な方策を立てられればと思っていたのでこれを研究テーマにしました。臨床では自身も実習生の指導を行い、自身に置き換えて物事を考えてしまいがちであったため、臨床実習指導者は臨床実習指導や学生のことをどう考えているのかを知りたいと考えました。そこで、経験年数が違う指導者に対し、臨床思考過程の指導のためにはどのような準備をしてきてほしいと思っているのか、どのように進めようと考えているのかなどをインタビューしました。結果はSCATを用いて分析を行いました。初の質的研究であり時間もかかりましたが、指導者がどのような思いをもって指導を行っているのかを改めて知ることができたことは、私にとって大変有意義でした。


指導教員の斎藤先生には感謝しています

研究指導教員の斎藤俊則先生にご教授いただけたことも大学院に入ってよかったことです。私は結果の報告まででいいものだと考えていましたが、そうではなく、研究を行うということはリサーチクエスチョンの答えは何なのか、結果をどう使うのかを考えることが必要なのだということをゼミの当初から教えて下さいました。先生には本当に感謝しています。

大学院修了後は、学生に対する講義の組み立てや、問い方を工夫するようになりました。解りたいと思えるような内容を心がけています。持っている知識を総動員して考えさせることを意識しています。患者さんを理解するにはこんなにも知識が必要なんだということを自覚した上で、もっと解りたいと、学生自らが思えるようになってほしいと考えています。しかし、まだまだできているとは言い難いのでこれからも研鑽します。臨床実習対策としては国家試験対策も兼ねて1年次から解剖学・生理学などの基礎知識を確実に身に付けて、恐れることなく臨床実習に行けるようにしたいと思っています。また、それらの学修が重要なことを理解し、より深い患者さんの理解により実りある実習を経験してほしいと考えています。