学生の想いを汲み取ってよりよい看護実習を形作る


阿部 千賀子さん(教育学研究科修了生/大学教員/長崎県)


 9年前に実習助手として大学に勤め始めました。学生の病院での看護実習へ一緒に行って指導をしています。自分が実習に行っていたときのことを振り返っても、実習は学生にとって大きなハードルを乗り越えねばならない場面だと思います。すこしでも学生にとってやりやすい環境を作ることでお手伝いができればと思い、日々取り組んでいます。それらを通じて、学生が成長していく場面を見られることが私自身のやりがいとなっています。

 そのような実践をする中で、一日の実習の振り返りの時間に、指導する立場として伝えたいことが思うように学生に伝わらないことが多々ありました。学生との関わりを大事にしたいと考えていて、教育や伝え方に関する知識を自分がきちんともっていればもう少し上手に接することができるのではないかと感じていました。職場の周囲からの勧めもあり、大学院へ入学することにしました。

 大学院ではシミュレーション教育の意義について研究しました。急性期の看護実習で、手術から戻ってきたばかりの患者さんの術後観察をするのですが、実はこの機会は実習中一度しかありません。実際に患者さんを目の前にして術後観察すること自体緊張するのに、加えてそれをたった一度きりの場面で行わねばならないため、さらにプレッシャーとなります。そこで、実習に行く前に人形を使って実際の場面を再現しながら練習を行いました。この人形は高機能のシミュレーションで状況が刻々と変わっていき、その状況を観察して適切な対応を口に出して言わなければ容体が悪化するようになっています。こういったシミュレーションを実習の前に行うことで、実際に実習に行ったときに緊張感を和らげることができ、実習におけるよりよい学習につながりました。

 大学院は横浜にあって住まいから遠いので、孤独かなと初めは思っていましたが、年に2回の研究発表会などを通じて徐々に仲間が増えて、とても心強く、励みになりました。自分一人じゃないんだなと。ラインのグループもできて、他の人から「研究がここまで進んだよ」とラインが入ると焦りながら自分もやっていました。修了後も各地で学会があるので、 近くに行くときには連絡して会うこともあります。一緒に学べるのは楽しいですし、仲間の存在は本当にありがたいです。

 大学院を修了して助教になりました。それに伴い、講義の授業を初めて担当するようになりました。大事なことが伝わったかなととても不安だったり、90分間の組み立てや時間配分も難しく、準備時間がとてもかかったりします。しかしながら、講義と実習とのつながりを考えるのは非常に興味深いところです。実習をしてみて「この部分は講義でこんなふうに話した方がよかったな」と感じることもあります。まだ講義には慣れていませんが、今後、こういった講義と演習のつながりを考えて実践していくことがやりがいになりそうです。

 いろいろな現場でいろいろなことをされている皆さんと大学院で出会い、刺激を受けながら学べたことは本当によかったです。特に同じゼミの仲間と関わる中で、研究に関して新たな目標ができます。これから入学される皆さんもこういった環境でぜひ頑張っていただきたいと思います。