高等学校で「主体的・対話的で深い学び」を実現させる

水谷 成吾さん(教育実践研究科在学生/高等学校教員/愛知県)


 高校の時から化学が好きで、化学が学べる大学に進学しました。当時は教員になりたいという明確な意思は持っておらず、就職する際の選択肢を広げるためという理由で教職を取り始めました。教員になろうと決意したのは、大学2年生の時。母校の中学校の先生から声をかけられて、野球部のコーチをしたときに、おもしろいなと思ったのがきっかけです。

 大学を卒業して、中学校に勤務し始めましたが、最初の3年間はむちゃくちゃ忙しかったです。でも、務めていたところが理科教育に力を入れている学校で、経験豊富な先輩の先生からいろいろなことを学びました。例えば、授業の初めに疑問を持たせてその疑問を解決するように授業を進めるということ。「ボーリングを海水に入れたら浮くと思う?沈むと思う?」と言ってやってみると実は浮くのです。生徒が「え、なんで?」と思うと、そのあとの追究が主体的にできる。こういった様々な工夫を教わって、教員としての力がついたと思います。

 一方で、周りの教員は教育学部を出ている人が多かったので、自分は教育について十分に学んでこなかったのではないかと、心のどこかで不安を感じていました。でもあまりに忙しくて大学院で学ぶという選択肢は考えもしなかったです。現在勤めているのは定時制高校で、部活がないため以前に比べて余裕があります。高校の頃の恩師で今の上司でもある先輩教員からのすすめもあり、大学院への入学を決意しました。


 大学院での学修は授業や課題などが多く、時間のやりくりが非常に大変です。ただ一方で、力がついたなとも感じます。例えば教育社会学特論の授業では、定時制高校がなぜできたかといった歴史的背景から定時制高校のあるべき姿を学ぶことができました。定時制高校は働きながら学べる環境を社会に提供している。それがわかると、教員としていろいろな場でそれを発信することができますよね。

 現在勤めている定時制高校は同じ校舎に全日制もあり、そこでの理科の授業も担当しています。文科省のいう「主体的・対話的で深い学び」というのは、私のイメージだと中学校でやっていることを高校でもやれないかということなのです。前任の中学校では「疑問から始めて実験をし、得られたことを記録・考察して、最後に教員が総括として日常生活とのつながりについて話す」ということが当たり前に行われていました。それが現在勤めている高校だとできていない。おそらく学ぶ内容が中学校より専門的になっているため、日常生活と結びつけるのが難しいのだと思います。でも、だからこそ、そこにやりがいを感じていて、効果的なやり方や教具を開発したいと考えています。

 実は、論文を読むという発想は入学前はこれっぽっちもなかったです。そういうやり方があるのか!と。最近、「物理・化学を苦手と感じるのはなぜか」ということについて書かれている論文を読みました。今のクラスはまさしくそのような生徒が多く、これを読んだことによって生徒をより深く理解でき、よりよい学習支援につながっていると思います。


 今後の目標は、自分の授業実践を他の先生方に見てもらうことです。そうすることで少なくとも「主体的・対話的で深い学び」という観点に先生方の意識を向けることができると思います。そこで先生方が考えたことが各教科で実践されていく。そうやって少しずつ学校を変えていきたいと考えています。

 星槎大学大学院の先生方はとても親身になって学修のサポートをしてくださっています。社会人にとってとても学びやすい環境で、安心して学修を進めることができると思います。